べんじょの落書き

ひらがな表記にすればなんでもやわらかい感じになると思ってる

今年見た映画、見るつもりだった映画、見ないことにした映画

大きなネタバレはしないつもりですが一部映画の内容がわかってしまう記述が含まれます。

 

「屋根裏のラジャー」★★★★☆(星よっつ)

思ってたより断然!よかった。この作品がヒットしないせいでスタジオポノックが倒産してしまうとしたら惜しすぎるので興行収入が少し上がってほしいなという気持ちになったのがきっかけでこの記事を書いている。ちょっと興味あるけど観るか迷ってる人は是非見てみてほしい。レイトショーで観たら一人で来ているサラリーマン風の人がちらほらいて、みんな子供の頃に想像の友達がいた同志かな?と思うと声をかけたかったがそれは奇行なので我慢した。

この作品は期待値の変動がひどく、

最初のキャラデザを見たとき・・ジブリの出来損ない感がすごい。メアリと魔女の花とか正直ストーリーが印象に残らなかったし、多分見ないだろうな

ショートの予告編を見たとき・・うーんやはり宮崎駿のようにどこかイカれた人間でないとほんとにおもしろいものは作れないのかな・・それなりには面白そうだけど優等生が作った教科書アニメ感がどうも気になるような

長めの予告編を映画館で見て・・キャラデザ微妙だと思ったけど、動いてるところ見るとアニメ表現が豊かで面白そうかも

で、実際に観てみたらどの予想よりもはるかに良かった。トイストーリー3を最高の映画の一つと考える類の人にはきっと刺さる。最後の方には涙と鼻水が同時に出てしまった。アニメ表現もジブリの二番煎じではない華やかで躍動感のある良さがあって映画館で観る価値あり。

 

「エブリシングエブリウェアオールアットワンス」★★★☆☆(星みっつ)

おバカコメディSF映画の皮をかぶった家族愛とアメリカ社会における移民を取り上げた映画。移民家族という主題が今のアメリカの時代にあっていて重要なテーマなのはわかるのだが、だからといってこの映画がアカデミーの賞を総ナメにしたのは何でなん?という気持ちが沸き上がる。それくらい笑えるイカレお下品コメディ&ハチャメチャ展開の映画(誉めてます)。凡作ではないと思いますが傑作といわれるとウーン・・?という感じ。

 

オッペンハイマー」★★★★★(星いつつ)※完全無欠の映画ではないですが非常に観るに値する、という意味を込めて

ノーラン監督の作品なので問答無用で観た。英語上映を見たので理解が難しい部分も多かったが、見終わった直後は「なんかすごいものを観た気がする・・」という感覚でしばらく茫然としてしまった。

主題はご存じ原爆の父と呼ばれる科学者オッペンハイマー博士の生涯である。ここが重要なポイントであり、映画としては原爆そのものが主題ではないということが観るとよくわかるつくりとなっている。

日本のインターネットにおいては、原爆により広島・長崎の人々がどのような被害を受けたのかが映画の中で十分に語られていないことに対して指摘と批判がみられる。日本で教育を受けた人間として私も鑑賞直後には同じ考えを持った。これだけ原爆を「落とした側」を中心的に扱う映画なのだから、原爆の悲惨さ、彼らがやったことがどのような結果をもたらしたのかは映画内でしっかりと表現されてほしいという考えには、現在も心情的には同調せざるを得ない。一方で、いち映画鑑賞者の視点からオッペンハイマーを映画作品としてとらえると、原爆被害についてこれ以上の詳細さで取り上げることは、ドキュメンタリーではない本作品にとってある種の「ノイズ」になる、ということも理解できてしまい、矛盾した感情に襲われた。

「バーベンハイマ―」の不謹慎ミームについてオッペンハイマー制作側には責任はないので多くの人がこの映画を見て上記の点について議論が活発にされることを期待している。

 

「バービー」★★★★☆(星よっつ)

公開直後に(バーベンハイマ―だのなんだのの騒ぎを知る前に)観た。いち映画として普通に面白い。声のデカい"フェミニズム"映画という批判は一部当たっている点もあるが的外れでもあると思う。バービーで遊んだことはほとんどないのだがその世界観がすばらしく映像化されているということは十分に感じ取れた。

ウィットに富んでいるなと思ったのは中盤以降、(★★以降ネタバレ記述あり)バービー世界(女性はほぼ100%がバービーという名の様々なバービー人形、男性のほぼ100%はケン人形が占める)でバービーに従属する性としての役割を余儀なくされていたケンが、現実世界へ向かうバービーに無理やりついて行き、そこから男性優位主義思想を持ち帰ってバービー世界に広めてからのくだりである。世界の主導権をケン達に握られたバービーたちは、世界を再びバービーたちの手に取り戻すべく、策を弄しケン達と戦う。その策が、要は様々な手段を使い、ケン(男)たちの間に反目を引き起こし、ケンが一致団結してバービーと戦えないように仕組む(そしてケン達はちょっとおバカでちょろいので、この策にまんまと引っかかる)。結果バービーたちが勝利を収めるのだが、バービーたちもこの争いを経てこれまでのケンをあまりにも軽んずるやり方を反省し、政界へのケンの参画を許すなど、譲歩する姿勢を見せる。しかし、もちろん大統領といったNo.1ポジションは引き続きバービーのものであり、ケンがその座につくことなど「ありえない(笑)」といった態度を見せる。(★★ここまでネタバレ)

この展開を「あまりにもバービー=女性びいきのご都合糞展開、女性に対する過剰なエンパワメント、女性優位が行き過ぎたフェミ映画」とするのはあまりに浅い的外れな批判であるといえよう。現実の男性優位社会で女性に対してしばしば行われている一種の抑圧(女性同士の分断と対立を行い、女性が意思決定の場に参画することを「認める」がトップ意思決定者としては受け入れない)を男女逆転、かつ戯画化して見せることにより、こういった分断や差別行為が、社会条件によりどのような属性のモノに対しても引き起こされうるものだということを示している描写なのである。

ちなみにオチの意味はいまいちよくわからなかった。

 

「ゲゲゲの謎」★★★☆☆(星みっつ)

上映していることすら知らなかったのだが、急にYoutubeやTwiitterもといXで大絶賛のレビューが目に付きだし、内心大いにダイレクトマーケティングを疑いながら鑑賞した。感想は普通に楽しめたしダークな感じで良くて文句もないのだが、正直そこまで絶賛するほどのものでは・・?という気もした。舞台設定やストーリー、キャラも、金田一八つ墓村をはじめとしてどこかで見たような要素が多く驚くような真新しさはない。

ネットを見ると人間関係やキャラ心情の考察にはまっている人が多く、確かに考察の余地はそこそこある映画なのだが、だからといって別にそこまで・・?という感じが拭えない。

繰り返すが映画としては面白く別に文句もないのだが、あまりにもネットの前評判が良すぎて肩透かしをくらったような感じだ。

 

プリキュアオールスターズF」★★★★☆(星よっつ)

文句なしの娯楽作品。大人になってプリキュアにはまった人間で、全話きちんと観たシリーズは5本ほど、現在のシリーズは気が向けばTver等で観つつ大まかにあらすじをネットなどで追うくらい、オールスターズ作品だけは全部見ているくらいのライトファンである。これまでのオールスターズ作品ではDX3とオールスターズメモリーズが好きだったがオールスターズFが最高といっても良いかもしれない。

(★★以降ネタバレ)冒頭キャラ紹介を省いていきなりバトルから始まるのが演出としてもテンポとしても大変よかった。またバトルシーンや演出が全般的に素晴らしい。キャラ描写もあんまり変なところがなく監督のシリーズへの愛を感じる。個人的にぐっときたシーンは終盤のウィングの騎士道精神発揮シーンである。終わり方は生ぬるいがまあプリキュアならこうなるよね、と納得できるのでそれも良し。Go!プリが贔屓なのではるはるとみなみんが出てきて喋ったのが嬉しかった(★★ここまでネタバレ)

 

君たちはどう生きるか」★★★★★(星いつつ)

宮崎駿はやはり天才とわかる作品。宮崎駿の面目躍如。表題になっている説教臭いタイトルの本は映画とほぼ関係ないので、その本を読んでようが読む気がなかろうが心配は不要。ネットに色々考察があふれているがだいたい的外れなように思える。私は考察はできないのでただ見て楽しむだけの人間。

 

「ミラベルと魔法の花」★★★☆☆(星みっつ)

星4つ寄りの3つかな、うーんどうだろう。字幕版、かつできれば英語字幕で見るのが良いと思う。歌のシーン、いくつかYoutubeで日本語版と英語版を観たのだが、言語の特性上、日本語版の歌詞の情報量はオリジナルの2割くらいまで削ぎ落されてしまっている。もともとの歌詞の文章の内容の美しさや語感の持つきらめきが失われてしまってかなり勿体ない。特に終盤の歌「All of you」でそのロスが顕著。

 

「リトル・マーメイド」★★★☆☆(星みっつ)

同じような感想をよく見かけるが、主演の人の歌があまりにもうますぎてアニメ版とのイメージの違いがだんだん気にならなくなってくる。主演の人の演技の可愛さもあって鑑賞後にけっこうな満足感が味わえる。終盤のパパとのシーンは泣ける。

ただ、私自身はディズニーにもリトル・マーメイドのアニメ映画にもアリエルにも元々何の思い入れもない人間であり(もともとのアニメ映画からして意味不明な展開だなーと思っているし)、昔からアニメ映画を好きだったファンが、アニメのイメージに近いキャスティングをしてほしいと要望するのは無理からぬこととは思う。

 

「すずめの戸締り」★★★☆☆(星みっつ)

アニメ表現はきれいではあるし震災のテーマも扱っていて軽いストーリーでもないのだけど、やはりこの監督の取ってつけたような展開がなんとなく気になってしまう。あと主人公が恋愛脳すぎてさすがに共感できんのだが・・?という感情を冒頭に持ったまま全編を観ることになる。登場するコンセプトとかモチーフは面白いなとは思う。

 

ーー観てないけど観ようと思っているものーー

ウォレスとグルミット

この映画でしかもひつじのショーンとのクロスオーバー?作品とあれば絶対に見に行く所存。

 

ーーその他、気が変わったものーーー

「WISH」

観ようと思ってたのだが、鑑賞者たちの批評をネットで見ているうちに、私が最も嫌いなタイプの主人公、その行動原理、ストーリーと展開を持つ作品だということが明らかになったのでやっぱり観るのやめよ・・と思っている。

 

「窓ぎわのトットちゃん」

原作は昔に読了。映画は予告編に出てくるキャラクターのデザインが気持ち悪くて絶対観ないつもりだったが、Xで「キャラデザで敬遠するのは勿体ない良作」というレビューが散見されるので悩み中。